交遊抄 「飾らぬ距離感」 今井雅人(衆院議員) 

「君が今井くんか」。
三和銀行のシカゴ支店から東京の本部に移動してしばらくした頃、外国為替部門で円のディーラーを務めていた私にある会合でこう声をかけてくれたのが
  榊原英資元財務官だ。    (ミスター円の異名を持つ人です)
金融業界の友人に榊原氏の娘さんがいた縁だった。
折しも1990年代半ばの金融激動期。当時、大蔵省の国際金融局長だった榊原氏が「生の声を聞きたい」と開いていた現場のディーラーばかりの会合に、
それから何度となく呼んでもらった。肩書ではなく中身を見て接し、前例や慣例にとらわれない。官僚としては型破りな姿に衝撃を受けた。
銀行を辞めて独立してからは、自分が経営する会社の傍ら榊原氏の研究所も手伝うようになった。
余計なことは語らないが、業界の著名人に会う毎年の米国出張にはかばん持ちとして同行させ引き回してくれる、そんな優しさが身に染みた。
旧民主党から出馬の打診を受けたとき「やってみればいいじゃないか」と背中を押してもらって今の自分がある。
米国で2人きりでも、赤ワインを傾けて1時間くらい話をしたら「じゃあ」とさっさと切り上げてしまうのがお約束。
お酒が好きでいつも飲みすぎる私だが、榊原氏の飾らないこの距離感が実は妙に心地よかったりする。  日経新聞より

  かく在りたいですね。