2017.01.05 日経新聞・春秋より

夜の街から子供が消えた−。
年末年始、繁華街の見回りをしていた知人の防犯ボランティアにこんな話を聞いた。
以前は盛り場をうろつき、飲食店やゲームセンターにたむろする中・高生の姿をよく目にした。
それがここ数年で、すっかり見かけなくなったという。
少子化だけでは説明がつかない変わり様らしい。実際、警察による補導の件数なども大きく減っている。
背景にはやはり、インターネットやスマートフォンの普及があるようだ。交流サイト(SNS)や通信アプリで連絡を取り合えば済むのだから、
わざわざ深夜の街に繰り出して会う必要もあい、ということなのだろ。
落ち合う場所は、親が外出している仲間の家が多いと聞く。飲酒や喫煙に及ぶこともあるようだ。
「出会い」を求めて客を探す少女たちもまた、街頭ではなくネット上で誘いをかけている。
外から見えにくくなった非行に危機感を強める警察は、一般人のフリをして彼女らに接触を試みるサイバー補導に力をいれはじめた。
だがなにしろネットの世界では、子供たちの方が一枚上手なのだ。サイバーポリスの存在は先刻承知。
不自然な受け答えがあれば、「こいつ、サイポリじゃね?」と即、拒絶されてしまう。
ITの進展を追いかけるのは疲れるけれども、子どもたちを見守るため、大人社会にはスキルを磨き上げる責任がある。