フットボールの熱源 「責任は全スタッフにある」吉田誠一氏 日経新聞より

7月から屈辱的な10連敗を喫した湘南のJ2降格がきまった。チョウ貴栽監督はその責任を一人で背負い、
「降格してしまった責任は選手には10%もない」と強調した。
その一方で真壁潔会長は「者はそういうけれども責任はクラブにある」と語る。昨オフ、獲得オファーが届いた中心選手の永木(鹿島)、遠藤(浦和)を
引き留める財力がなかった。会長が口にする言葉は、売上を15億円前後から思うように伸ばせずにいる経営責任を意味する。

チームの成績はクラブの総合力で決まる。それは監督、選手の力だけでなく、育成組織の力、それらすべての源となるクラブの収益力を合わせたものだ。
チームの成績はクラブの営業収益とほぼ相関している。2014年は営業収益が21億円の徳島、15年は18億円の山形、21億円の松本がJ2の降格した。
14年のC大阪(37億円)、大宮(34億円)、15年の清水(31億円)のような例外はあるが、
残留争いの中心になるのは20億円前後のクラブだ。
15年にともに15億円で残留した湘南、甲府は驚異的と言える。

もちろん、売上はクラブが置かれた地域性に大きく左右され、親会社のない地方クラブはハンディを負うが、
Jクラブはいかに稼ぎ、いかに効率的にチームの成績に反映させるかを競い合わされている。
プロリーグは経営手腕を争う戦いでもある。
「あと1社、大口スポンサーと契約出来たら」「1試合平均入場者をあと1000人積み上げていたら」という仮定は
「もう一人、有力選手をとれたはず」「優勝争いに加われたはず」につながる。
クラブに関わる全てのスタッフの働きがチームの成績を決める要因になる。
そう考えると、降格した場合の責任はすべてのスタッフにある。